東京医科大学(学長:林由起子/東京都新宿区)の医学総合研究所落谷孝広教授が参画する共同研究グループは、気道上皮細胞から分泌されるエクソソームが肺線維化進展を抑制し、新規治療薬となりうることを示しました。特発性肺線維症は、診断後平均生存期間が3-5年の難病で、有効な治療が十分に確立されていません。今回の研究成果は、特発性肺線維症をはじめとした肺の線維化をきたす疾患に対する新規治療薬開発に繋がるものと期待されます。
この研究成果は、国際細胞外小胞学会誌「Journal of Extracellular Vesicles」(IF=25.841, JCR2020)のオンライン版に掲載されました(日本時間2021年8月2日21時30分公開)。
<研究の概要>
?細胞から分泌される小胞であるエクソソームのうち、気道上皮細胞由来のものをTGF-βと共に肺線維化細胞に添加すると、肺の線維化
進展を抑制することを発見しました。
?気道上皮細胞由来エクソソームが、線維化部の線維芽細胞では筋線維芽細胞分化を抑制し、肺上皮細胞では抗老化作用を示しました。
?気道上皮細胞由来エクソソームに含まれる多彩な分子のうち、特に複数のマイクロRNAが細胞老化に関係しているとされるTGF-β及び
Wntシグナルを抑制することを明らかにしました。
?気道上皮細胞由来エクソソームは、現在臨床で使用されている抗線維化薬のみならず、新規治療薬として注目されている間葉系幹細胞
由来エクソソームよりも優れた抗線維化効果をもたらす可能性が示唆されました。
■プレスリリースはこちら>>